作: 鈴様 

ミーナのお便り・1

 皆さま、はじめまして、ミーナ・ミハイロワです。ミハイロフ一家の一人娘です。
お父さんの名は、アレクセイ、お母さんの名は、ユリウスです。
 半年前からここ、スイスのローザンヌに、移り住んでいます。今年の八月のお誕生
日に八歳になります。 先日、お隣にフランスからジャルジェ夫婦が引っ越されて御
主人のアンドレさんが挨拶に来られました。
お隣のお家はとっても素敵!窓にはフリルたっぷりのレースのカーテン(うちのは、
お母さんの手作り花柄の布)、灯りはシャンデリア(うちは、豆電球)、庭には薔薇
が沢山(うちの庭には、両親の結婚記念日5月1日に鈴蘭の花が満開に咲きました)。
今は、お隣の薔薇の花が香りをいっぱい漂わせ、色とりどり咲き乱れています。と
っても、美しいです。
今日は、ここまでにします。
                                                 
 






ミーナのお便り・2

    ジャルジェさんの庭から、薔薇の匂いに混じり、″お洒落な香り″がするの。      
  顎をつき出して、クンクンしていると、「此だよ」って、アンドレさんがドアに飾っ  
  てあるリースを、私の鼻の先に!此!此!レディーの香り。             
    「オスカル御用達のブルガリア ローズ100%の香水を、かけてあるんだ。寝室の枕と  
  バスタブにもね。でも、キッチンと食堂はダメ!食べ物の香りを楽しまないと。ミー  
  ナには薔薇のジャムをあげよう。」   
  あっ、薔薇の美味しそうな香り。これは、キッチンにOKね。   
  私とお母さんはパンに蜂蜜。そうだ、紅茶に入れよう。               
      お父さんのウォッカにも、驚くだろうな…。   
  今夜の夕食、楽しみ。   
  アンドレさん、ありがとう。   
  私はお家に帰り、食堂のテーブルの上に、いただいた薔薇のジャムを置いておきま  
  した。                                     







ミーナのお便り・3

             
    日本の皆様、私のお便りを読んで下さってますか?                
私のお母さんの故郷レーゲンスブルクのアーレンスマイヤ家、マリアおばさんのパ
ートナー、ダーヴィトおじさんが、私達家族が、平和に静かに暮らせるようにと、ス
イスのお家をプレゼントして下さいました。
おじさんは皆様の時代のミュージシャン、デヴィッド・ボーイのひい、ひいおじい  
 さん!不思議なgentlemanです。そして、マリアおばさんは、アーレンスマイヤ家の  
 居間にあった、立派なグランドピアノを『引っ越しのお祝いよ。』っと、スイスへ
贈って下さったのです。
二人には、感謝の気持ちで一杯です。
マリアおばさんとダーヴィトおじさんは、お父さんとお母さんの幸せを一番に、お
父さんとお母さんは、私の幸せが一番と、考えてくれています。
「おーぃ、ミーナ、めしにするぞ〜!」
あっ、お父さんが呼んでいる。
じゃあ、またね。









ミーナのお便り・4

             

      あっ、いい匂い。ピロシキ揚げてる香りだ!                                      
ミーナ、先にやっているぞ。 今日のウォッカは特別旨い! こいつを入れたら最高級の味
だ。ピロシキにも合うぞ。」
あっ、アンドレさんのジャムが半分になっている。
「オスカルの女房、アンドレの手作りか?」
  …違う、ご主人よ。
「オスカル、あいつはいい奴だ。」
…あいつ?奴?なんて、失礼な。
"今夜のお父さんは上機嫌ね。お母さん!"って、ウィンクすると、優しい微笑みが返って
くる。私の心がグッと、暖まります。
…でも、そんなに、ウォッカ飲ましちゃダメ。
今夜の夕食は嵐になりそうな予感が…。









ミーナのお便り・5

             
      お父さんはいいことがあると、お酒が進み、おしゃべりになります。                
「俺の仕事には、オスカルの協力が必要なんだ。彼女は話を真剣に聞いてくれる。意見も的
確で素晴らしい、力にもなると、約束してくれた。あぁ、上手くいきそうで最高に嬉しい!!
ヨノラカ、バラリロ〜。」
! 舌が回らなくなっている…。ヤバい!
あっ、お母さん、それ以上お酒のお代わり注いだらダメ!
お父さん、舐めたスプーン、ジャムの瓶に入れないで!
「ミーナ、どうしておまえは、俺にそんなに厳しいのだ?」
だって、よだれ垂れてるもん、目付きも変!
今日は恥ずかしいので、ここまでにします。